2022.06.16
福岡の環境を活かした共創の場所になってほしい 【株式会社ストックデザインラボ 北嵜剛司さまインタビュー】
福岡大名に2022年2月にオープンした「CREATIVE ROOM」。
入口を入って正面に現れるガラス張りの空間が「CREATIVE ROOM」を象徴する「託児ルーム」です。
温かみのある木材を使用した飾り棚がおしゃれで、大人が見てもワクワクするデザインです。
託児スペースの他にも、家具や床、壁面など随所にこだわりが感じられます。
そんな「CREATIVE ROOM」の設計からインテリアまでプロデュースしていただいた株式会社ストックデザインラボ代表取締役の北嵜剛司さんに、当施設についてやこれからの働き方などについてお話を伺いました。
―普段のお仕事について教えてください。
空間デザインの会社で、店舗や住居、賃貸住宅などのリノベーション提案やそれに付随するグラフィック、広報などをやっています。
会社のビジョンは「心地よい日常」。ブランドコンセプトは「響きあうデザイン」。
共に創る、そこにしかない空気を感じ取ってそこに響きあうようにデザインを組み立てていきます。出来上がってすぐの真新しい時だけでなく、使い込むごとにそれぞれの心地よさを感じてもらえるような空間をイメージして仕事をしています。
スタイルクリエイトの代表の麻生さんと僕は大学の同級生なんですけど。
僕が独立して春吉に移転した時に、関係者の方たちに「移転しました」というお知らせのフライヤーを配布してて、それを見た麻生さんが連絡をくれました。
当時スタイルクリエイトの保育園2園目(からふる六本松保育園)を作る話があり、今まで保育園は手がけたことなかったけどトライしたいと思って。そこから一緒にお仕事をさせてもらっています。デザイン、設計、施工など空間づくりのお手伝いをしています。
―CREATIVE ROOMのこだわりは?
託児スペースがあるコワーキング施設は福岡では少ないですし、託児スペースがある特徴を際立たせたいという意図で、空間の中心に設置してどこからでも託児スペースが見える、託児スペースからも外のそれぞれの気配がわかるような作りにしました。
気配がわかるといっても、ガラス越しで少し曖昧にしながら仕事するママパパと子どもの安心な距離を保てる、安心な配置と配慮をしているところはポイントです。
また、色に関すると「木のナチュラルカラー」と「グレーカラー」を使ってシンプルにしています。木のナチュラルな色味に、モルタルやライトグレーの壁などを合わせて、明るく落ち着いた、流行り廃りのないデザインにしています。アクセントに植物のグリーンを入れていますが、同じ品種ではなくスタイルクリエイトやからふる保育園の企業理念に沿って個性あるいろいろなグリーンを揃えます。
ロゴマークが「C」をモチーフとした丸型だったので、合わせて照明やサインにも丸い形を使い、統一感をもたせました。
中央のラウンジスペースは人が集まりやすくなるよう広くとっています。
椅子は移動したりスタッキングできるものを導入してフレキシブルに使えるようにしました。
サテライトオフィスの個室ブースは長い時間集中して作業や仕事ができるように座り心地のいいものを。また事務室的な堅いものではなく柔らかいシルエットのオフィスチェアを採用しています。
ラウンジ、コワーキングスペースの家具は「カリモクニュースタンダード」。
※日本の家具メーカー「カリモク」のブランド。カリモクの技術と国内外のデザイナーが先進的なアイデアとを融合し、日本の家具デザインの新たなスタンダードとなるべく取り組んでいる。
座り心地はもちろん、デザインの新規性でCREATIVE ROOMの「クリエイティビティ」みたいなものが空間の中から芽生えるような工夫をしました。とはいえ今っぽい際立ったものでなくシンプルで長く使えるものを選んでいます。
個室ブースはサテライトオフィスとして使っていただけます。
スタイルクリエイトの企業理念に共感する企業さんに使って欲しいですね。福岡はスタートアップに関して意識が高いので、これから福岡で新しい事業にトライするとかポジティブな会社が入ってくれたらいいですね。
コワーキングスペースは、託児スペースがあることと、女性の働きやすさに興味を持っている方々に使ってもらいたいです。
いろいろなコワーキング施設を試して使っていく中で「CREATIVE ROOM」が使いやすいとフィットしてもらえたら。使ってもらってからよりよい空間に作り上げて、使う人たちで響き合っていく空間づくりができるといいなと思います。
―パパとして子どものそばで働くことに関してどう思いますか?
自分自身は子どもたちに働いている姿はあまり見せられていないんですけど、僕自身が子どもの時に父親が働いている姿は見てきているので、それはよかったと思います。
父親は設計をする仕事で、家の製図台で描いている姿はよく見ていたこともあって将来自分もそういう仕事につくんだろうなと思っていました。
「働く姿を全く見せないよりは少し見せた方がいいかもしれない。」
うちの子どもたちは僕のインスタをフォローしてますよ(笑)
子どもの中で、親が何をしているのか知る機会は時代とともに変わってきていますけど、仕事する場を見せたり、仕事場に連れて行ったりすることは子どももいずれ社会に出るので大事なことじゃないかなと思います。
「CREATIVE ROOM」のような、子どもと同じ空間で仕事できるのは安心だと思います。
プライベートではなく、周りも仕事する目的で来ているからメリハリがあって新しい感覚で仕事できそうだなと思います。
―福岡ってどんな街ですか?
コロナもあってステイホームの風潮もあり、オフィスや働き方の概念も変わってきましたよね。
「自宅で仕事できるなら、わざわざオフィスに出向かずに自宅で仕事する」という形も世界的な流れになっているけれど、福岡に関してはコロナ前と変わらず「働く場所と暮らす場所を分けておく」という考え方・働き方は他県に比べると比較的受け入れられているのではないかなと思います。
福岡はコンパクトシティで都市部と郊外間の交通の利便性も高いので、自宅に仕事スペースをあえて作らなくても、働ける環境が整ったコワーキング施設のような場所に行けばいい。
現に大名付近にはCREATIVE ROOM含めコワーキング施設もどんどん増えているし、スタートアップなど新しい事業を生み出す環境として福岡はいいと思います。
自宅でももちろん仕事はできるけど、家から出なければ出会いを制限することになる。人が集う場所にすぐにアクセスできる福岡では自宅で仕事をするのは勿体無いんじゃないかなと個人的には思います。
―今後の展望は?
「心地よい日常」が実現できるように空間づくりの仕事をベースに広げていきたいですね。
その中で関わる人との連携、つながりの中から新しいものが出来上がればいいなと思います。今回の「CREATIVE ROOM」を通して、そこからお互いメリットがあるようなプロジェクトが生まれるかもしれないし、一個一個の仕事から発展していくように、しっかりつなげていきたいです。